6連買い事件 — Botは言われたことを全部やる

前回の続きである。仕事から帰って、デモ口座に買いポジションが6個並んでいた話だ。

しかも履歴を見ると、きっちり1時間おきに買っている。11時47分、12時47分、13時47分……。まるで几帳面な社員が判子を押すように、同じ通貨を、同じ量だけ、淡々と買い続けていた。

繰り返すが、頼んでいない。なんでやねん!

原因は、俺だった

クロちゃん(相棒のAI)に聞いたら、すぐに原因が分かった。

俺のBotはこういう作りだった。「1時間ごとにチャートを見ろ。Wボトムがあって、RSIが売られすぎなら、買え」。

で、その日は相場が下がりっぱなしで、「Wボトム+売られすぎ」の状態が何時間も続いたわけだ。するとBotは1時間ごとに起きて、チャートを見て、「条件が揃ってる。買え、って言われてるから買う」。1時間後にまた起きて、「条件が揃ってる。買う」。また1時間後……。

つまりBotには「さっき買ったばかりだ」という記憶がない。人間なら2回目で「いや、もう持ってるって」と気づく。Botは気づかない。言われた条件が揃っている限り、永遠に買い続ける。

ゴミの収集で言えば、回収済みのチェックを付けずにルートを回るようなものだ。同じ家の前を通るたびに、もう空っぽのゴミ置き場に律儀にトラックを停める。無駄が嫌いな俺が、一番無駄なBotを作っていた。

直し方は、拍子抜けするほど簡単

クロちゃんに「もうポジション持ってたら買わんようにして」と頼んだら、ものの1分で直った。

# 既にポジションがある場合は新規注文しない
positions = mt5.positions_get(symbol=symbol)
if positions:
    print("既にポジションあり → 新規注文スキップ")
    continue

やっていることは「注文する前に、財布の中を確認する」。それだけである。たった4行。この4行がなかったせいで、俺の口座には身に覚えのない買いが6個並んだわけだ。

ここで学んだことを、大事なので もう一度書いておく。

Botは「言われたことしかやらない」のではない。「言われたことを、言われたまま、全部やる」のだ。 抜けている指示があれば、抜けたまま実行する。文句も言わずに、1時間おきに、正確に。

もっと怖いことにも気づいた

ところで、この6個のポジション、よく見ると損切りの設定がない。つまり相場が逆に行ったら、どこまでも損が膨らむ「裸のポジション」だった。ブレーキのないトラックで収集ルートを走っていたようなものだ。考えたら ゾッとしたわ。

次回は、この損切り(と利食い)をBotに教える話。ついでに「ネックライン」という、Wボトムの本当の見方も教わった。この改造で俺のBotは見違えるほど賢くなる — ように見えた。その話は、また。

ちなみに残った6個のポジションをどうしたかは、だいぶ先の回で書く。これがまた、なんとも皮肉な結末になるのだ。

ではまた。


【おことわり】この連載は個人の検証記録であり、投資助言ではありません。記事中の数字は2026年7月時点のバックテスト(過去データによる模擬計算)の結果であり、実際の運用成績とは異なります。FXは元本を失うリスクのある取引です。

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