前回、俺のBotには損切りがないことが判明した。ブレーキのないトラックだ。今回はそれを直す話と、初めての「答え合わせ」の話である。
まず、Botのルールを全部書き出す
検証の前に、俺のBotが何をやっているのかをはっきりさせておく。ここを曖昧にしたまま「勝った負けた」を言っても意味がないからだ。
買いの条件(売りは上下反転):
- 1時間足の直近100本を見る
- その中から「谷」を全部拾う(前後の足より安値が低い足を谷とする)
- 直近2つの谷を取り出し、その2つの安値の差が1%以内なら「Wボトム」と判定
- 同時に、RSI(14)が35を下回っていること
- 1と2が揃ったら買い
損切りと利食い(今回追加した部分):
- 損切り:2つ目の谷の0.1%下。理屈は単純で、「2回跳ね返った底を割ったんなら、Wボトムの読みが外れたということ。なら さっさと降りる」
- 利食い:損切り幅の1.5倍。つまり「負けるときは10失う、勝つときは15取る」
収集ルートで言えば「行き止まりだったらすぐ引き返す。当たりの道は奥まで行く」である。この設計なら、勝率が半分を切ってもトータルでは残る計算になる。
これでBotは一人前に見えた。だが、ここでクロちゃんがこう言った。
「このBot、過去のデータで動かしたら成績が出ますよ。バックテストって言います」
なるほど。過去2年分のチャートで、このBotが何勝何敗だったか計算できるわけだ。面白い。やってみよう。
検証の仕様
対象:USDJPY(ドル円)1時間足
期間:直近2年(約12,400本)
判定に使う範囲:各時点の直近100本
コスト:スプレッド1.5pipsを、決済のたびに往復分として差し引く
ポジション:同時に1つだけ(前のが決済されるまで新規は入れない)
同じ足で損切りと利確の両方に届いた場合:損切りを優先(厳しい方で数える)
結果:2年で911回取引して、大負け
マイナス2,437.6pips。勝率35.0%。
なんでやねん!911回も取引して、コツコツ負け続けていた。俺のBotは2年前に動かしていたら、立派な負け犬だったのである。
だが、ここからが面白かった。クロちゃんと二人三脚で、条件を締めていったのだ。
| 何をしたか | 取引数 | 勝率 | 損益 |
|---|---|---|---|
| 最初の状態 | 911回 | 35.0% | -2,437.6 |
| 谷2つの許容差を1%→0.5%に厳しく + 4時間足の移動平均(50)でトレンド判定を追加 | 335回 | 32.2% | -1,946.4 |
| そのトレンド判定の向きを逆にする | 636回 | 36.8% | -1,102.5 |
| RSIの基準を35/65→30/70に厳しく | 466回 | 36.3% | -849.9 |
負けがどんどん減っていく。改造のたびに数字が良くなるのだから、楽しくて仕方がない。
……ところで、上の表の3行目に注目してほしい。「トレンド判定の向きを逆にする」というやつだ。
最初は素直に「4時間足が上向きのときだけ買う」にした。悪化した。だから逆にして「4時間足が下向きのときだけ買う」に変えたら、改善した。
このとき俺は「ほう、逆張りやからそうなるんか」と納得していた。この行動が何を意味するのかは、第5回で思い知ることになる。
とどめの一手:ネックライン
最後に教わったのが「ネックライン」だ。Wボトムというのは本来、Wの真ん中の山を上に抜けてからが本番らしい。2つ目の底ができた瞬間に飛びつくのは、フライングなのだ。
これも数字で決めた。
- ネックラインの定義:2つの谷の間にある、一番高い値
- 確認方法:1時間足の終値がそれを上回ったとき(ヒゲだけで抜けたのはダメ)
- 有効期限:2つ目の谷ができてから25本以内の上抜けだけ有効
これを入れた結果がこれである。
取引34回、勝率44.1%、損益マイナス3.1pips。
2年間で、ほぼトントン。マイナス2,437から、たったの3.1まで来た。あと一歩だ。あと一押しで、ついに勝てるBotになる。聖杯まで、あと一歩や!
……この時の俺に言ってやりたい。その「あと一歩」の正体を、お前はまだ何も分かっていない、と。
次回、調子に乗って他の通貨ペアでも試したら、とんでもないものを見つけてしまう。
ではまた。
【おことわり】この連載は個人の検証記録であり、投資助言ではありません。記事中の数字は2026年7月時点のバックテスト(過去データによる模擬計算)の結果であり、実際の運用成績とは異なります。FXは元本を失うリスクのある取引です。


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