前回、俺のBotの+219pipsが幻だと判明した。そこで湧いた疑問をクロちゃん(相棒のAI)にぶつけてみた。
「個人がこの調子やったら、世界で本当に勝ち続けてる連中は、いったい何をやってんねん?」
返ってきた話が、目から鱗だった。今日はその内容を、俺なりに噛み砕いて書く。
① 1つの必勝法なんて誰も持っていない
まずこれが衝撃だった。世界最高峰と言われる運用会社は、必勝ロジックを1つ持っているのではないらしい。
やっているのは逆で、勝率52〜55%程度の小さな作戦を、数十から数千も並べて同時に走らせる。1つ1つはギリギリの優位性しかない。
ここが最初は腑に落ちなかった。勝率53%なんて、ほぼ五分五分やないか。そんなもんをいくら並べても、五分五分のままちゃうんか、と。
だが、違うらしい。勝率53%の作戦を1本だけ回すと、5連敗も6連敗も普通に来る。資金曲線はガタガタで、精神がもたない。ところが「円が動いたときに勝つ作戦」「原油が動いたときに勝つ作戦」のように、勝つ理由が違う作戦を20本並べるとどうなるか。20本が同時に連敗する確率は、ぐっと下がる。1本1本のガタガタが打ち消し合って、合計の曲線だけが滑らかに上を向く。
カジノの胴元と同じ理屈だ。1回1回の勝負は際どい。だが台数と回数を増やすほど、確実に理論通りの取り分に収束していく。彼らがやっているのは勝負ではなく、胴元の側の商売なのだ。
収集ルートに例えるなら、「絶対にゴミが多い1軒」を探すのではなく、「平均してちょっとだけ多い家」を千軒回る、という発想だ。俺がやっていた「Wボトム+RSIで1通貨ペア」は、彼らの世界では部品1個にすぎない。
② 「なぜ儲かるのか」に答えを持っている
これも耳が痛かった。彼らは自分の作戦について、「誰から、なぜ利益を取れているのか」をはっきり説明できるという。
大きく分けると、こういう分類らしい。
- 構造的な歪み:金利差(スワップ)や、長期のトレンドなど。市場の仕組みそのものから生まれる
- 人間のクセ:損切りが遅れる、みんなが同じ方向に群がる。そういう心理の偏りが作る歪み
- 速度:ミリ秒単位の世界。個人には無関係
- 情報:衛星写真やカード決済データなど、他人が持っていないデータ
で、俺のWボトムはどこかというと、2番目の「人間のクセ」の中でもかなり弱い部類だそうだ。単独で使うものではなく、複数の材料の1つとして混ぜるのが普通らしい。
なんでやねん。最初に言うといてくれ。
③ 検証の方が、本番より手間がかかっている
一番刺さったのがこれだ。彼らが最も金と人手をかけているのは、儲ける仕組みそのものではなく、「その仕組みが本物かどうかを確かめる作業」だという。
前回やったウォークフォワード検証は、彼らにとっては入口にすぎない。他にもこんなことをやる。
- 同じ作戦を複数の市場で試す(1つの市場でしか効かないなら偶然と判断)
- 取引コストを悪い方に見積もる
- トレードの順番をシャッフルして、最悪どこまで負けが続くかを調べる
要するに、自分の作戦を疑うことに全力を注ぐ。俺が「聖杯が見えた!」と喜んでいた時間、彼らは同じ数字を見て粗探しをしているわけだ。
④ 「いくら賭けるか」の方が「いつ買うか」より上
これも発想が逆だった。作戦が決めるのは「入る場所」だけ。その上にもっと偉いレイヤーがあって、そこが「今回はいくら賭けるか」「この作戦をいつ止めるか」を決めるという。
具体的には、1回の取引で失っていい金額を口座の0.5〜2%に固定し、相場の荒れ具合に応じて枚数を変える。俺みたいに毎回0.01ロット固定、というのは、この世界では管理していないのと同じらしい。
個人が真似できること
長い話だったが、俺が持ち帰った結論はシンプルだ。
- 検証を先に厳しくする(バックテストで喜ばない)
- 枚数を、損切り幅から逆算して決める(固定ロットをやめる)
- 性格の違う作戦を並べる(逆張り一本足打法をやめる)
ここまで書いて気づいたことがある。1〜3のどれも、「どこで買うか」の話をしていない。全部、確かめ方と守り方の話だ。
世界の頂点にいる連中が一番金をかけているのが「確かめる作業」だというなら、俺みたいな人間が最初に手に入れるべきものも、儲かる手法やなくて確かめ方なんちゃうか。手法は探しても探しても切りがないが、確かめ方は一つ持てば、次に何が出てきても自分で白黒つけられる。
そしてクロちゃんに言われた。「では、その1〜3を全部満たす作戦を、次に試しましょう。トレンドフォローです」
次回、俺は27通貨ペア・10年分という、今までとは桁違いの検証に踏み込むことになる。そして、とんでもない数字を見ることになる。
ではまた。
【おことわり】この連載は個人の検証記録であり、投資助言ではありません。記事中の数字は2026年7月時点のバックテスト(過去データによる模擬計算)の結果であり、実際の運用成績とは異なります。FXは元本を失うリスクのある取引です。


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